【東京】宮古島市沖で10人が搭乗した陸上自衛隊UH60JAヘリコプターが行方不明となった事故で、事故機が洋上での事故を想定しない装備で飛行していたことが18日、分かった。防衛省が同日、自民党本部で行われた党安全保障調査会(小野寺五典会長)・国防部会(国場幸之助会長)の合同会議で明らかにした。事故機は機体主要部分の発見までに8日を要しており、装備の不備が発見の遅れにつながった可能性がある。
出席議員によると、事故機の「フライト・データ・レコーダー(FDR)」には、洋上での事故・遭難時に海上に浮揚し、光などで位置情報を発信する機能「ビーコン」が装備されていなかった。洋上飛行を想定している海自、空自のヘリには、事故・遭難発生時の機体の捜索で、航跡が記録されるFDRを洋上から回収したり機体の早期発見を促したりするために、機体の外側に付帯する形で設置している。
一方、事故機は洋上飛行を想定していなかったため、装置を付帯しないFDRを機体の内側に設置していた。事故機にはこの装置のほかにも緊急時の位置情報の発信器が装備されていたが、いずれも機体内側に設置されていた。
防衛省によると、こうした対応をとっていた理由について、洋上飛行を想定していなかったためとしている。事故機以外の陸自ヘリも同様の装備があるという。
自民党安全保障調査会の木原稔幹事長は、事故機が陸自第8師団の所属である点を踏まえ、「機動師団として南西諸島に展開することは想定できた」とし、防衛省側に陸自ヘリの装備見直しを「今後の課題」として指摘した。防衛省側は「重く受け止める」と応じたという。
(安里洋輔)