那覇軍港の浦添計画、代替施設で機能強化の可能性も 使用実態の公表なし 検証できない「現有機能の維持」


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米軍那覇港湾施設(那覇軍港)に駐機している米軍垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ=2022年11月8日、那覇市

 米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添市移設に向け、日米が代替施設の形状や施設配置に関する計画(マスタープラン)について合意したことで、代替施設建設に向けた作業が加速する。ただ、軍港代替施設の機能は定まっておらず、移設で強化される可能性は否めない。県全体の基地負担も増す恐れがある。

 日本政府や県は「現有機能を維持する」と説明するが、根拠に乏しい。米軍は2003年以降、軍港の年間使用回数を公表していない。現在の使用頻度が分からない中では機能維持なのか強化なのか検証しようがない。

 そもそも「現有機能」の一致した定義はない。県はオスプレイなど航空機の離着陸が軍港の機能に含まれていないと解釈するが、政府は含まれるとしており、真っ向から対立している。普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡っては「移設」としながら、普天間飛行場にはない軍港機能や弾薬搭載エリアを設けようとしている。軍港代替施設についても後から新機能が付与されない保障はない。

 県は辺野古に関連する訴訟で、法律で定めずに建設を強行するのは、国会が国権の最高機関とした憲法41条と、地方自治の本旨を保障した92条に反すると主張してきた。その点では那覇軍港の浦添移設も同様の問題を抱えている。この点も玉城県政は説明責任を果たさなければならない。計画が進展して機能強化の実態が判明してからでは手遅れとなる可能性がある。計画の本質を見抜いて判断する姿勢が必要だ。
 (明真南斗)