沖縄県石垣市の市有地がゴルフ場として長年無断で使用されていた問題で、市が不当に安い基準で損害金を算出するなどしたとして、使用者のジュ・マール楽園に、適正な金額で再請求するよう市民7人が市に求めた訴訟の判決で、那覇地裁(藤井秀樹裁判長)は21日、市が使用者に対し約269万円を請求するよう命じた。
ゴルフ場は防衛省に売却され、今年3月から陸上自衛隊石垣駐屯地として使用されている。売却に伴い、市の担当者が2018~19年に現地確認をするなどし、市有地の無断使用が発覚した。
判決理由で藤井裁判長は、無断使用した使用者の過失を認定。市は少なくとも20年分(1999年~2018年)の損害賠償の請求ができると判断した。その額は計約319万円としたが、使用者が債務の弁済として2019年、市に支払った約50万円分を差し引き、今回の損害賠償額とした。
判決では、市の損害賠償の請求権は「債権」に当たり、それを行使しない市は「違法に債権の管理を怠るもの」と批判。市側が使用料相当額の計算方法について訴えていた、普通財産の使用料基準の主張は認めなかった。一方、原告側が求めていた中山義隆市長個人への損害賠償請求などは退けた。
市は取材に「判決文が届いていないため現段階でコメントは差し控える」と答えた。