佐渡山「全て出し切った」 競技11年「いったん区切り」 日本新に悔いなし 重量挙げ全日本2連覇


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 重量挙げの第83回全日本選手権大会・第37回全日本女子選手権大会が21日、山梨県の山梨市民総合体育館で始まり、女子55キロ級で、佐渡山彩奈(宮古高―平成国際大出、いちご)がスナッチで日本新記録となる90キロ、ジャークでも大会新記録となる111キロを挙げ、トータル201キロの日本新記録で連覇を飾った。大城朱萌(那覇高―日体大出、鹿児島県スポーツ協会)は6位だった。男子の61キロ級では東京五輪4位の糸数陽一(豊見城高―日大出、警視庁)がスナッチ125キロ、ジャーク149キロ、トータル274キロで、67キロ級と合わせ2階級で9度目の頂点に立った。森田幸司(糸満高―中央大出、丸産業)は5位。55キロ級の知念育利(南部農林高―金沢学院大)は6位だった。


 

女子55キロ級 スナッチで日本新の90キロに成功した佐渡山彩奈=山梨市民総合体育館

 「全てを出し切った」と6度の試技を成功させ、2位に16キロ差をつけての圧勝で日本記録も更新した女子55キロ級の佐渡山彩奈。「絶対に優勝するという自信はあった。目標は日本記録更新だった」と口にしたが、予想以上の結果に感情があふれた。五輪5大会連続出場の三宅宏実コーチと喜びを分かち合い「うれしさがこみ上げてきた」と涙を浮かべた。

 来年のパリ五輪の実施種目に55キロ級は含まれていない。昨年の全日本選手権で初優勝を飾り、国体、日本選抜選手権でも頂点に立ったが、階級を一つ上げて59キロ級でパリに挑むのかが焦点だった。

 今年の全日本を最後に「いったん区切りをつける」決意を固めたのは昨年12月下旬だ。55キロ級でピークにあること、59キロ級に階級を上げて記録を伸ばしていく難しさから、三宅義行監督と話し合った上での決断だった。

 その後は、弱点だった下半身の強化に重点的に取り組み、増減が大きかった体重も安定して維持することに成功。万全の状態で今回の全日本に臨んだ。

 「いろいろプレッシャーもあったが、『最後の大会』と思うと吹っ切れて。一番楽しくできた」。宮古高2年の時、糸満や豊見城などの強豪高を指導してきた渡慶次晃教諭の指導をきっかけにリフターの道へ入って11年。日本新記録で頂点を極めた佐渡山に、悔いはない。

(安里周悟)