住民ら驚き「こんな巨大な部品が」 漁協「何の連絡もない」と不信感 海保機カバー落下


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右エンジン下部の覆いが脱落した第11管区海上保安本部那覇航空基地所属の固定翼機(同基地提供)

 【糸満】第11管区海上保安本部那覇航空基地所属の固定翼機から重さ約25キロのエンジンカバーが落下した事故は、漁船が日常的に航行する海域で発生した。観光客らがマリンレジャーを楽しむ美々ビーチいとまんや糸満漁港にも近く、漁業関係者や市民からは「こんな巨大な部品が降ってくるとは」「怖い」と驚く声が上がった。

 落下判明から8時間余りが経過した午後4時すぎ、本紙の問い合わせで事故を知った糸満漁業協同組合の東恩納博組合長(68)は「海保からは何の連絡もない」とあっけに取られた。「被害がなかったのは幸いだが、これだけ大きな部品を落としたのだから重大事故だ。まずは地元漁協に目撃情報などを問い合わせ、報告するのが普通だろう。おかしい」といぶかしんだ。

 美々ビーチでは午前中、観光客約20人が海水浴などを楽しんでいたという。夕方、ビーチ周辺をウオーキングしていた市内の男性(58)は「米軍基地周辺の落下事故はよく聞くが、糸満では長年住んでいてもほとんど聞かない。こんな大きい物が降ってくるとは、怖いね」と眉を寄せた。

 沖合で海保のヘリや船が作業しているのを目撃したという同ビーチ監視員の男性(33)は「ビーチの利用に影響はなく、観光客は普段通り海を満喫していた。ビーチ近くへの落下や、船舶などへの被害がなくてよかった」とほっとした表情を浮かべた。

 東京都から夫婦で訪れ、ビーチに隣接するホテルに宿泊中の70代女性は「部屋からのんびり海を眺めたりしていた。こんな事故が起きていたとは驚きだ」と語った。

(岩切美穂)