里親委託解除問題、元里親夫妻が賠償求め提訴 児相対応の違法性問う 沖縄・那覇地裁


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提訴に向け、那覇地裁に入る元里親=27日午前、那覇市(小川昌宏撮影)

 沖縄県那覇市の50代の夫妻が、生後2カ月から5年以上養育していた児童の里親委託を2022年1月に児童相談所から解除された問題で、夫妻が27日、県に計300万円の損害賠償を求め那覇地裁に提訴した。

 夫婦側は「正当な理由なく児童を一時保護し、里親委託を解除したことで、甚大な精神的苦痛を被った」とし、裁判を通して児相側の対応の違法性を問う考えを示した。慰謝料目的ではなく「独裁的な児相の対応に疑問を呈し、裁判所を通して問題点を明らかにし、つらい思いをさせられている児童を一人でも減らしていく」と訴訟の意義を強調した。

 児童は22年1月4日に児相に一時保護された後、22年3月、一時保護所から県内の別の里親宅に移された。

 訴状によると、児相側が実親側に虚偽内容を伝えたり、夫婦への悪感情や反発感情を抱かせるような内容を伝えたりして、実親に里親委託の解除を誘導させたとした。また児相側は、夫婦に児童を引き渡さなければ誘拐罪になりうるなどと迫り、夫婦を畏怖させたとしている。

 提訴後、県庁記者クラブで会見した元里親夫婦によると、児童は今でも夫婦に会いたい様子があるという。夫婦は「児相は子どもの心に一切配慮せず、児相の都合で進めている。子どもを傷つけ、その人生を壊しているのは信じられない」と述べた。

 県は取材に「現段階で訴状が届いておらず、コメントはできない」としている。