【記者解説】沖縄電力の赤字決算 燃料コストの自社負担続き、難しいかじ取り 


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 ウクライナ危機や円安の進行で燃料価格の高騰が続き、沖縄電力の2022年度決算は経常損失が連結で487億円、単体で502億円と過去に例を見ない大幅赤字となった。電源構成のほとんどを石炭など化石燃料に依存してきた分、影響は甚大で、自己資本比率などの財務指標は悪化。沖縄経済と県民生活を電力供給で支える沖電の経営立て直しは急務だが、国の規制料金値上げの審査は長期化し、難しいかじ取りを迫られている。

 電気料金には燃料費の上昇分を反映させる燃料費調整制度(燃調)があるが、沖電では昨年4月に転嫁できる上限に達した。同11月に国に出した値上げ申請は審査が長期化し、上限超過分の燃料コストを自社で負担する状況が続く。

 沖電の本永浩之社長は28日の会見で「(燃調の)超過額は昨年1年間で約470億円だった。審査が遅れると、試算では1カ月当たり20億円の影響が出る」と説明した。

 損失の拡大は、安定していた財務基盤を揺るがしている。22年度は社債や借入金を増やして資金をまかない、有利子負債残高が前年度から788億円膨らんだ。経営の健全性を示す自己資本比率は35.7%から23.4%へ12.3ポイント急落した。

 22年3月策定の中期経営計画で、25年度の財務目標として連結の経常利益120億円以上、自己資本利益率(ROE)5%以上、自己資本比率30%台維持などを掲げた沖電。だがROEは22年度決算でマイナス33.4%まで悪化し、どの指標も目標値は遠のいた。

 経営悪化が長引けば、再生可能エネルギー主力化や脱炭素の実現に向けた投資も滞りかねない。6月以降となる見込みの規制料金値上げを踏まえ、未曽有の経営難からどう持ち直せるかが焦点になる。
 (當山幸都)