【記者解説】9条平和主義への評価は高く 沖縄県民に向き合い議論を <憲法アンケート>


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 憲法に関する県関係国会議員と県議会議員対象の本紙アンケートで、約7割が現憲法を「評価する」とした。一方で58人中、31人が「社会情勢の変化への対応」などを理由に加憲・改憲の必要性を訴えた。だが、9条改定に絞った設問では結果が逆転し、過半数が「必要ない」と答えた。ロシアによるウクライナ侵攻や中国の脅威などが指摘される中でも、戦争放棄と戦力不保持を定めた9条の平和主義の理念への高い評価が現れた結果と言える。

 自公政権は「台湾有事」など安全保障環境の変化を理由に軍備増強を推し進める。本紙アンケートでは、南西諸島への自衛隊配備や反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有に関して、国政与党議員数が多い国会議員では「賛成」が上回ったが、県議を加えると、ともに「反対」が多数を占めた。

 住民を巻き込んだ悲惨な沖縄戦や日本国憲法が適用されなかった米統治下の経験から、沖縄では現行憲法の平和主義を重視する世論が根強い。

 現在、衆参両院では「改憲勢力」が3分の2を占めている。岸田文雄首相をはじめ政府内では改憲に前のめりな姿勢が目立つが、県民に向き合い、思いをくみ取った丁寧な議論が必要だ。
 (佐野真慈)