現行憲法に69%「評価する」 憲法審査会、与党「議論進展を」野党「改憲ありき」の声 <憲法アンケート>


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 琉球新報が県議、国会議員を対象に実施した憲法アンケートでは、平和主義を掲げる憲法が制定から76年を経た今も高く評価されていることが明らかとなった。一方で個人の権利が尊重される社会情勢の変化などを踏まえて、憲法改定を求める声も高まりつつある。安全保障環境の変化を背景とした自衛隊の能力向上に向けた安全保障関連3文書が昨年末に閣議決定されたが、県内では南西諸島への自衛隊配備や反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有といった軍事力強化の流れに賛成する意見は過半数には達しなかった。


<現行憲法>「評価する」69%

 現憲法への評価については、自民県議18人(31.0%)が「どちらでもない」とし、国会議員全10人を含めた残る40人(69.0%)が「評価する」とした。

 自民県議は統一の回答として「国民福祉と国家発展に大きな役割を果たしてきた」とした上で「現行憲法の規定の一部には今日の状況に対応するために改正すべき項目がある」と回答した。一方、自民所属の国会議員は全員が「評価する」とした。比嘉奈津美参院議員は「平和や基本的人権の尊重に果たしてきた役割は大きい」とした。

 国政野党の高良鉄美参院議員は「立憲主義が貫かれている」などとして高く評価した。県政与党の比嘉京子県議(てぃーだ平和ネット)は「国の交戦権を認めず、外交による平和構築を旨としている」と回答した。
 (佐野真慈)


<憲法審査会>与党「議論進展を」 野党「改憲ありき」

 2007年に衆参両院に設置された憲法審査会は、憲法や関連する法制の調査と憲法改正原案の審議という機能を持つ。衆院の憲法審査会は、改憲に前向きな自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党の4党が主導する形で、2022年は過去最多の24回開催された。最近では、緊急事態条項の創設に関連して議員任期の延長についての議論が進められている。

 改憲に前向きな自民・公明両党の国会議員からは、審査会での議論の進展を期待する声が上がった。宮崎政久衆院議員(自民)は「(憲法の)在り方を常に議論すべきであることから、定期的に開催すべきだ」と答えた。金城泰邦衆院議員(公明)は「世界情勢の変化を踏まえて今後も議論を重ねる必要がある」とした。

 一方、改憲に反対する立場からは、改憲を前提とした審査会を動かすことへの抵抗感が表れた。新垣邦男衆院議員(社民)は「改憲ありきで反対」とした上で「議論すべきは専守防衛逸脱やジェンダー不平等など違憲性の強い政権政策の是非」と指摘した。
 (沖田有吾)