戦闘機の巡回配備から半年、ひどさ増す嘉手納基地の爆音 騒音レベル高い機種が飛来 前年と比べ騒音発生が43%増


この記事を書いた人 琉球新報社
米軍嘉手納基地に飛来するF35Aステルス戦闘機=3月28日(小川昌宏撮影)

 【中部】米軍嘉手納基地に所属するF15戦闘機の退役に伴い、米空軍が米本国などから戦闘機の巡回配備を始めて、4日で半年が経過した。F15の本国帰還で嘉手納基地の常駐機は減ったものの、巡回配備機の飛来・訓練に伴い、同基地への航空機離着陸回数はほとんどの月で前年同月を上回った。1月は離着陸回数が前年同月比65%増、基地周辺地域の騒音発生回数も同43%増えた。大型エンジン搭載のドイツのF35Aといった騒音の激しい機体も駐機しており、巡回配備により騒音が激化している状況だ。

 米空軍は嘉手納基地所属のF15戦闘機を2年かけて退役させる予定で、その穴埋めで米本国やドイツから戦闘機を配備している。11月4日に米アラスカ州からF22Aが配備されて以降、ドイツのF16、F35A、F15Eが配備された。5月2日現在、嘉手納基地にはF35Aが12機、F15Eが18機駐機している。

 嘉手納町と北谷町の調査によると1月の騒音発生回数は計1万4935回、離着陸回数は5412回で、21~22年度の中で最も多い月となった。同月はF22AとF16が最大26機配備されていた。

 沖縄防衛局の調べで、3月は離着陸回数が前年同月比28%増、騒音発生回数は同18%増だった。同月はF22AとF16の配備のほか、同月28日からF35Aの配備が始まった。同機は騒音が激しいことから、周辺住民からは騒音激化に反対する声が多く届いた。

 一方同機は3月30日から訓練を始めたため、3月の騒音発生・離着陸回数にはほとんど反映されていない。

 北谷町の渡久地政志町長は「巡回配備以降、これまでになかった地域や観光客からも苦情が届いている。今後さまざまな戦闘機が配備されるはずで、騒音激化を懸念している」と話す。

 嘉手納町の當山宏町長は「F35Aの配備で格段に騒音が増し、深刻な内容の騒音被害を訴える声が多くなった。F15の後継機はまだ決まっていないというが、F35Aは断固反対だ」と述べた。
 (石井恵理菜)