ブルースクリーン/藤野栞<琉球詩壇・5月6日>


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 隆尋

ブルースクリーン

藤野栞(富山県)


 

青猫と共に机の引き出しに逃げたプライドが
悪気のないクラスメイトに発掘された
慌てて降ってきた茶封筒を開けば
下手くそな字で書かれた 定型文の返事
会話のキャッチボール
悩みに悩んで投げた低密度のボールが
コンマ数秒後 笑顔で放り投げられた
それが道路に転がっていって車に当たって
傷ついて返ってきたのを
あたかも傍観者のような目で見てた
給食のおかわりを我慢したから
きょうもおなかが空いてる
なにも溜まらないのに求めてだけはいる

駅周辺に充満するアンモニア臭
これが高解像度の令和時代
水たまりに映る青空
放課後にしては雲が多い
駅前の噴水は泣いてた 同志だ
かき氷店の行列は他人事
通行人に無視されてる路上ライブは自分事
そんな私は
足を止めずに顔も向けずに投げ銭もせずに
すべて心にしまういちばん悪いひとだ


西原裕美・選

寸評

いろんな思いを心にしまいながら、時が過ぎ去っていくような面白さ。