ブルースクリーン
藤野栞(富山県)
青猫と共に机の引き出しに逃げたプライドが
悪気のないクラスメイトに発掘された
慌てて降ってきた茶封筒を開けば
下手くそな字で書かれた 定型文の返事
会話のキャッチボール
悩みに悩んで投げた低密度のボールが
コンマ数秒後 笑顔で放り投げられた
それが道路に転がっていって車に当たって
傷ついて返ってきたのを
あたかも傍観者のような目で見てた
給食のおかわりを我慢したから
きょうもおなかが空いてる
なにも溜まらないのに求めてだけはいる
駅周辺に充満するアンモニア臭
これが高解像度の令和時代
水たまりに映る青空
放課後にしては雲が多い
駅前の噴水は泣いてた 同志だ
かき氷店の行列は他人事
通行人に無視されてる路上ライブは自分事
そんな私は
足を止めずに顔も向けずに投げ銭もせずに
すべて心にしまういちばん悪いひとだ
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西原裕美・選
寸評
いろんな思いを心にしまいながら、時が過ぎ去っていくような面白さ。
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