離島のガソリン価格、独自補助あるのになぜ高い? 沖縄県が分析した本島との価格差の要因とは


この記事を書いた人 Avatar photo 與那嶺 松一郎
県内離島のガソリンスタンド

 沖縄県はこのほど、離島のガソリン小売価格を沖縄本島並みにするため石油製品の輸送費に補助しているにもかかわらず、離島と本島で価格差が生じている要因を分析した報告書を公表した。離島のガソリン年間販売量の少なさが小売価格を押し上げている要因と分析した。また、補助金の対象外となる離島特有の流通コストや施設維持費も小売価格に上乗せされているとした。

 沖縄は復帰特別措置法により、国税の揮発油税と地方揮発油税が軽減されている。軽減分の一部を県が独自に石油価格調整税として徴収し、離島への海上輸送費をほぼ全額補助するため、仕組み上は本島も離島も価格は変わらない。

 報告書によると、離島と本島間のガソリン価格差は2022年度で、1リットル当たり平均20.2円生じていた。離島の1給油所当たりの年間販売量はレギュラー、ハイオク、重油などの全油種合わせて1217キロリットル。本島の2677キロリットルの半分以下の水準だ。営業利益が黒字の給油所は離島は63%で、本島の74%よりも11ポイント少ない。

 年間販売量が少ない「200キロリットル未満」の離島給油所では、ガソリン1リットル当たり192円で販売しても、小売価格に占める営業利益はマイナス10.4円。「200~500キロリットル未満」の離島給油所でも同188.5円で販売しても営業利益はマイナス5.4円と厳しい経営を強いられている。

 さらに島内でガソリンコンテナを輸送する際に使用するフォークリフトやユニック車の維持管理費といった流通経費のほか、資機材の検査のために職員を派遣させる離島特有のコストも小売価格に転嫁されている。これらは補助金の対象外だ。

 県はガソリンの軽減措置が24年5月に切れることに合わせ、22年度に価格差について報告書をまとめた。離島の37事業者63給油所と石油製品を使用している農家など381事業者、本島の9事業者23給油所から調査票を回収して分析した。

 県は今後、国に軽減措置の継続を要望する。報告書は価格差を縮めるために、補助金の対象外となっている施設の法定検査や資機材の修繕を担う職員の旅費や交通費、資機材の島外運送費用に追加補助を提言した。再生エネルギーの活用拡大も促した。
 (梅田正覚)