沖縄の米軍基地反対運動を取り上げた番組「ニュース女子」で名誉を傷つけられたとして訴訟を起こし、4月に最高裁で勝訴したヘイトスピーチ反対団体の辛淑玉(しんすご)共同代表が10日午後来県し、県内でヘイト街宣に反対してきた市民らと喜びを分かち合った。
辛さんは、3年前からヘイト街宣の抑止に取り組んでいる「沖縄カウンターズ」の活動に合わせて来県した。活動場所の那覇市役所前に到着すると、参加者らと抱き合い「みんな本当にありがとう。とても心強かった」と感謝の思いを伝えた。
辛さんは番組放送後に脅迫を含む誹謗(ひぼう)中傷を受け、ドイツに逃れた期間もある。辛さんと話をした40代の女性は「社会が(辛さんを)ここまで追い詰めてしまい、申し訳ない気持ち。安心して過ごせるように願う」と思いを寄せた。
約5年前から那覇市内で在日外国人らへのヘイトスピーチを監視し、マイノリティーの支援活動を行ってきた赤池敏生さんは、県議会近くで辛さんと初めて面会した。赤池さんは「辛さんに『ありがとう』と言われ涙が出た。差別された人々の生活は簡単には元に戻らないため単純には喜べないが、一歩前進した感じがする」と心境を語った。
(西田悠)