沖縄が1972年に米施政権下から日本に復帰して15日で51年を迎える。復帰時から続く政府の沖縄振興政策によって、社会インフラの整備は着実に進み、県内総生産(GDP)は飛躍的に向上した。一方、全国の在日米軍専用施設面積の約7割が集中するなど過重な基地負担といった課題は横たわり続けている。復帰から51年目の沖縄の現在をまとめる。
1972年の復帰以来、政府は「沖縄振興特別措置法」(当初は沖縄振興開発特別措置法)に基づき、道路や港、橋、ダムなどの社会インフラの整備を進めてきた。10年ごとの第1~6次にわたって「沖縄振興計画(振計、当初は沖縄振興開発計画)」が実施されている。これまでに国から支出された沖縄振興予算は約13兆円。公共工事の高率補助制度や税制の優遇措置など、沖縄独自の制度が導入されたことで社会インフラは飛躍的に整備され、県民生活は向上した。だが全国に比して県民の所得は低い水準にあるなど、課題は山積する。
各振計では施策の成果として最終年度までに到達が見込まれる展望値を示してきた。これまでに展望値に到達できたのは「総人口」と「労働力人口」、「就業者数」、「完全失業率」だった。
一方、過去50年間、経済発展の度合いを示す「県内総生産(GDP)」や「1人当たり県民所得」の展望値は一度も到達したことがない。
県内GDPの低さは県民の収入にも表れている。2018年の住宅・土地統計調査によると、県内57万8300世帯のうち、収入が300万円未満の世帯は46・3%で全国平均34・2%より12・1ポイント高かった。300万~500万円未満の世帯は県内は22・8%で、全国の25・8%より3ポイント低い。500万円以上の世帯は県内は15・9%、全国は32・1%と16・2ポイントの差があった。
全国に比べて県民の収入が低い背景として、非正規雇用率が高く、賃金水準が低い第3次産業の割合が高いことが挙げられる。
県はアジアに近い立地を生かした高付加価値型の観光産業の構築のほか、IT産業やバイオ産業など労働生産性が高い第2次産業の発展を目指している。
(梅田正覚)