企業の「稼ぐ力」に課題、基地発生の事件・事故は悪化 第5次沖縄振興計画の評価


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 県が第5次沖縄振興計画「沖縄21世紀ビジョン基本計画」で示した五つの将来像ごとの「目標とする姿(成果指標)」(97項目)の施策の達成率は「達成」と「前進」が合計約75%を記録した。「横ばい・後退」は約26%だった。将来像によっては達成率が低かった面もあった。

 自然環境保護などの方向性を示した「沖縄らしい自然と歴史、伝統、文化を大切にする島」(15指標)のうち達成は8指標(53%)、前進は1指標(7%)だった。

 県民の健康や治安について示す「心豊かで安全・安心に暮らせる島」(25指標)は達成は22指標(88%)、前進は1指標(4%)。

 産業振興を示す「希望と活力にあふれる豊かな島」(45指標)は達成は17.8指標(40%)、前進は12指標(27%)。

 国際交流を示す「世界に開かれた交流と共生の島」(4指標)は達成は2指標(50%)、前進はゼロで、「横ばい・後退」が2指標だった。

 人材育成について示した「多様な能力を発揮し、未来を開く島」(8指標)は達成率100%だった。

 この10年間で大きく改善したのは「完全失業率(年平均)の低下」で基準年の2011年は7.1%だったが、最終年度の21年は3.7%と大幅に改善した。

 一方で「後退」した事例は「米軍基地から派生する事件.事故の減少」で、基準年の11年は62件だったが、21年は70件と悪化した。また、新型コロナウイルスの影響により、入域観光客数は21年度1200万人を想定していたが、実際は327万人だった。

 企画調整課の担当者は「新型コロナの影響で産業振興の成果指標の達成率が落ちる結果となった。しかし失業率が改善するなどの成果もあった。依然として全国と比べて低所得の課題もあるので、企業の『稼ぐ力』を上げて雇用の質を上げていく施策を展開していきたい」と述べた。
 (梅田正覚)