「勝手に拡張あり得ない」「自衛隊施設より公共施設の老朽化対策を」与那国ミサイル配備住民説明会 沖縄


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地対空ミサイル部隊の配備計画に関する住民説明会に参加した町民=15日午後、沖縄県与那国町

 【与那国】防衛省が15日に開いた陸上自衛隊与那国駐屯地への地対空誘導弾(ミサイル)部隊配備計画についての住民説明会。会場となった与那国町離島振興総合センターには約100人の住民が参加し、緊張感が漂った。住民からは島で進む軍備拡張に対し、疑問や怒りの声が多く上がった一方、ミサイル配備や自衛隊施設拡張を歓迎する声があった。

 午後6時過ぎ、会場に続々と町民が集まり始めた。午後6時半、説明会が予定時刻通りに始まり、防衛省側の担当者が安全保障などについて話し始めた。

 説明会ではミサイル部隊配備の必要性を説く防衛省側に対し、懐疑的な意見が相次いだ。

 70代男性は町内で進んできた自衛隊施設の拡張について語り、「毎日毎日(基地を)見ない日はない。これだけ小さい島で逃れることはできない。ミサイル部隊と弾薬を置くことを、詳しい説明もなく防衛省が勝手に進めるのはあり得ない」と部隊配備に強く憤った。

 最後列に座っていた建設業の20代の男性は「自衛隊の施設は新しくなっていくが、町役場や小中学校の施設は老朽化が進んでいる。ミサイルの部品の前に役場の壁が落ちてくる。国民の生活を守る立場として、この現状をどう考えているか」と問いかけた。

 一方、説明会では参加者からは糸数健一町長の不在をただす意見も。「町長はなぜいないんだ。町民をバカにしてるのか」。農家の70代男性がイスから立ち上がった。「町長が説明すべきだ。町長を出してくれ」。防衛省や町からは具体的な答えはなかった。男性は怒りに満ちた表情で、会場を後にした。

 説明会終了後、30代の女性はミサイル部隊配備は「賛成」とし、「(他国に対し)丸裸でいるよりも、(打ち落とす)最終手段が必要だと思う」と話した。

 一方、50代の女性は「配備ありきの説明会。住民に丁寧に説明するといい、肝心なことは『お答えできません』。配備は反対」と言い切った。
 (照屋大哲)