東村で唯一のガソリンスタンドが閉店へ 別の給油所までは10キロ以上 生活への影響避けられず


この記事を書いた人 琉球新報社
6月30日で閉店が決まった、東村唯一のガソリンスタンド=17日、東村有銘

 【東】沖縄県東村有銘にある村内唯一のガソリンスタンドが、施設の老朽化などを理由に6月30日で閉店する。基幹産業の農業で使う農機具も利用する給油所で、村民から生活への影響を懸念する声が出ている。當山全伸村長は「地元にも大きな影響が出る。村内に1カ所は給油所を設置する必要がある」と語り、店舗併設型の給油所誘致など、あらゆる対応策を早急に検討する考えを示した。

 閉店すると、村有銘や慶佐次の住民は、10キロ以上離れた大宜味村津波や名護市瀬嵩の給油所まで行く必要がある。さらに東海岸側の道路は、名護市から国頭村の約50キロにわたって給油所がない空白地帯が生じる。

 給油所は1986年に開業し、現在は東開発(名護市)が運営している。利用者は主に村民で、週末になると東海岸沿いをドライブする観光客やバイクなどの利用も多い。

 同給油所の比嘉章人所長は閉店理由について「施設の老朽化が大きい」と説明した。施設を建て替えた場合でも、エコカーの普及による給油回数の減少などで利用客の増加は見込めないという。比嘉所長は「今まで長い間使っていただき、ありがとうございます」と利用者に感謝した。

 ツーリング中に給油所を訪れた新垣寿治(としはる)さん(44)は「20年以上利用している。給油所は辺戸岬への往復で利用する重要な場所で、ツーリング仲間のランドマークでもある。なくなると困る」と困惑の表情を浮かべた。
 (武井悠)