土地規制法「思想の自由侵害」 沖縄の対策弁護団が抗議の声明


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「土地利用規制法」の対象区域に県内が選ばれたことを受け、抗議声明を発表する「土地規制法対策沖縄弁護団」の加藤裕団長(左から2人目)ら=17日、県庁

 防衛関係施設や国境離島などを対象にした「土地利用規制法」の対象区域として、政府が県内では初めてとなる39カ所を候補地に選んだことを受け、「土地規制法対策沖縄弁護団」は17日、抗議声明を発表した。区域内の土地・建物の所有者や利用者らに関する調査ができることから、市民による基地反対運動への監視が高まる可能性を強調。憲法が保障する思想信条の自由などを侵害するとして、同法の速やかな廃止を訴えた。

 声明では、今回の指定が自衛隊の南西シフトを強化したことを反映しており、中国との戦争が始まれば鹿児島から与那国島までが「最前線の戦場となることを予想している」と指摘。「『戦争する国』への地ならしがいよいよ本格的に開始された」と主張し、今後県内のあらゆる地域が対象となると危惧する。

 県は昨年9月、政府に意見書を提出し関係自治体の意見を尊重するよう求めているが、声明でも政府に対し廃止までの暫定期間において県の意見書を尊重するようを求め、県や関係自治体に対しても住民の権利と生活を守る観点から、政府からの説明と意見聴取を望むよう求めた。

 弁護団は17日に県庁で会見を開き、加藤裕団長は「政府の戦争準備の態勢づくりが、市民の予想をはるかに超えた規模で進んでいることを実感できる。市民の権利が奪われていく過程を食い止めないと、とんでもないことになる」と語り、強い危機感を示した。
 (小波津智也)