教員試験や採用計画の見直しに取り組み 上江洲寿氏(県教育委員会 働き方改革推進課課長)<先生が足りない シンポ事前インタビュー>2


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上江洲寿氏

 琉球新報社はシンポジウム「教員不足 打開への一歩」を21日午後2時から、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開催する。慢性的な教員不足から、学級担任を配置できない、県独自の少人数学級を一部で実施できないなどの問題が起こっている。問題の解決に向けて、学識者、教育行政、教職員、保護者などの立場から5氏が登壇し、多角的な視点で解決策を考える。開催を前に、登壇者や関係者をインタビューした。

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 ―教員不足の現状と、これまでに取り組んできたことは。

 「4月時点で学級担任の未配置はなかったが、専科教員などは23人不足した。課題は教員のなり手不足と、特別支援学級の増加が採用数を上回り配置が追いついていないこと。教員確保のため、教員候補者選考試験制度の改革や、中長期的な採用計画の見直しなどに取り組んでいる。本年度の選考試験から、受験年齢の上限を45歳から59歳に引き上げた」

 ―4月に新設した働き方改革推進課では、どのような取り組みをしているか。

 「教職員の声を拾うことをスタートラインにしたいとの思いから、全教職員を対象にウェブアンケートを実施した。ゴールデンウィークを含む約3週間で、数千人に及ぶ教職員から返答があった。丁寧に確認し、業務の洗い出しをする。またアンケートの取り方について、集計作業などが学校の負担になっているとの声がこれまでにあった。今回は教職員の負担にならないよう、回答は直接働き方改革推進課に届くようにして、学校ごとの集約作業をなくした。子どもたちのために、先生方が働きがいを感じることができる職場をつくるため、進むべき方向が明確になってきている」

 ―課題に感じていることは。

 「県行政だけでは、教員不足問題の解決は難しい。働き方改革は課題の幅が広いだけに、市町村教育委員会や学校、保護者、PTA団体、地域住民など関係者や団体も多い。それぞれの範囲で責任をもって取り組むことと、連携していく必要があると感じている」 (聞き手・高橋夏帆)

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 うえず・ひさし 県教育委員会働き方改革推進課長。1998年に向陽高校で採用。担当教科は数学。その後、宮古高校で3年、開邦高校で7年勤めたのち、県教育委員会県立学校教育課と学校人事課で勤務。2年間の開邦高校教頭を経て現職。那覇市出身。


 シンポジウム「教員不足 打開への一歩」は21日午後2時から、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開催する。予約不要、直接会場へ。資料代500円。

 基調講演は佐久間亜紀氏(慶應義塾大学教職課程センター教授)。パネル討論は佐久間氏のほか、浜田京介氏(中城村長)、上江洲寿氏(県教育庁働き方改革推進課長)、木本邦広氏(沖教組中央執行委員長)、宮﨑豊氏(恩納小学校PTA会長)が登壇する。

 問い合わせは琉球新報暮らし報道グループ、電話098(865)5158、メールkyoiku@ryukyushimpo.co.jp。

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