「何か大変なことが起こっているね」で済まさないで 幸地一氏(県高等学校障害児学校教職員組合委員長)<先生が足りない シンポ事前インタビュー>3 ㊦


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―県立学校での教員不足の現状と課題は。

 「県の発表では4月時点で、(県立学校は)高校3人、特別支援学校1人の未配置があった。現場の教員が実感できるような業務改善がなければ、年度末に向かうにつれて、また未配置が生じる可能性が高い」

―教職員から寄せられる悩みはどんな内容が多いか。

 「最近は多忙に拍車がかかり、燃え尽きてしまう教員が増えたように感じる。早期退職者も増加傾向にある。育児休業制度などについても、大変そうにしている同僚の姿を見て取得をためらう人もいる」

―教員不足問題の解決に取り組む中で、課題に感じていることは何か。

 「教員不足の原因は、業務過多、それによる教員の疲弊、メンタルダウン、なり手不足、そもそも国が教育にかける予算を減らしたことなど複合的である。何か一つの施策で解決できるわけではない。校種や地域によっても実態が異なり、一筋縄にはいかない」

―今後取り組もうと考えていることは何か。

 「負担軽減のためにこうしたい、という意見はすでに現場からたくさん出ている。例えば早朝講座(ゼロ校時)実施の見直し、部活動の地域移行などがある。県でも議論されているが、実現の兆しが見えない。持続可能な形に変えるためには、学校以外の人たちの協力が必要不可欠だ。どうか県民一人一人が、教員の働き方、教員不足問題を自分ごととして考えてほしい。その呼びかけもしていく必要がある」

 「私たち教職員が求めているのは『子どもにとってより良い環境』であり、それは保護者もそれ以外の人たちも、みんな同じはずだ。何か大変なことが起こっているね、だけで済まさないでほしい」

 (聞き手・嘉数陽)

 

 こうち・はじめ 県高等学校障害児学校教職員組合(高教組)委員長。1987年に名護養護学校に採用。豊見城、コザ、南部商業高などで勤務。沖縄盲学校在職中の97年、生徒が普通高校へ進学を希望し、高教組を通じて点字受験を県教委に求め実現。那覇市出身。


 シンポジウム「教員不足 打開への一歩」は21日午後2~5時、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開催する。予約不要、直接会場へ。資料代500円。