子どもたちのため行動へ、熱く議論 「働く環境にゆとりを」「学校と地域の役割分担を」教員不足シンポジウム


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シンポジウムで登壇者の意見に耳を傾ける参加者=21日、那覇市泉崎の琉球新報ホール(ジャン松元撮影)

 教員不足の解決に向けて、行政や保護者、教職員組合とさまざまな立場の登壇者が一堂に集まり、熱い議論を交わした。21日に那覇市の琉球新報ホールで開催されたシンポジウム「教員不足 打開への一歩」には、教職員や保護者ら158人が参加し、登壇者の意見や提言に熱心に耳を傾けた。

 「こういった問題が県民に周知されたことは、大きな一歩だと思う」。県教育庁に勤務する40代の男性職員=浦添市=はシンポジウムの意義を評価した。「現場は病休者が出たり、新規採用された教員が一年たたずに辞めてしまったりすることもあり、かなり深刻だ」と学校現場の厳しい現状を明かす。「児童生徒の健やかな成長のため、ゆとりを持って働けるような環境を自らつくっていかなければならない」と声に力がこもった。

 高校教諭の石堂百代さん=那覇市=は「肌感覚でしか分からなかった教員不足が、データによって、なぜそうなのかよく分かった」と納得した様子。「人は少なくなる一方で業務が増えている印象がある。業務内容を精査しながら、ヤングケアラーなどで学校に来られない生徒らと向き合えるような取り組みも進められたらと思う」と話した。

 恩納村から参加した當山直彦さん(52)は4児の父親。「地域住民が協力して、先生の業務の負担を軽減できないかと思った。そうすれば先生が子どもたちと関われる時間も増えるのではないか」と語った。

 50代の女性教員は、基調講演をした佐久間亜紀・慶應義塾大学教職課程センター教授の「教職員不足問題に悪者はいない」という言葉が印象に残った。「その言葉が大切だと思う。みんなで解決していこうという視点がありがたい」という。「これまでは放課後を含む子どもの問題を学校が担い過ぎたところもあった。学校や地域でやるべきことをはっきり分けていくことも必要ではないか」と、地域と連携した業務内容の見直しを提案した。

 (小波津智也、西田悠、高橋夏帆)