【東京】1957年に米軍立川基地(旧砂川町)に立ち入ったとしてデモの参加者が起訴され、最高裁で有罪が確定した「砂川事件」で、公平な裁判を受ける権利が侵害されたとして係争中の国家賠償訴訟の第12回口頭弁論が22日、東京地裁であった。元外交官の孫崎享さんらが原告側の証人として出廷し、原告側が提出した米公文書について「非公式な会合の記録だと思われる」などと証言した。
この日の口頭弁論では、当時の田中耕太郎最高裁長官が米側へ裁判の見通しを伝えていたことを示す公文書の内容などについて、証人尋問が行われた。孫崎さんは、元外交官の立場から公文書の信用性について証言した。裁判官から、公文書内に田中氏が裁判の見通しを明示する表現がなかった点について問われ、「曖昧に伝えることも外交上の交渉技術の一つだ」と述べた。「電文に(詳細な)背景まで書き込むことはない」と証言した。
この日は、砂川事件の元被告の土屋源太郎さんら2人も原告側証人として出廷した。