菜食主義者が全人口の約1割を占めるベジタリアン大国・台湾。一口に菜食と言っても、その流儀はさまざまだ。
動物性食品やアルコールばかりでなく、植物性であっても宗教的理由から、ニンニクなど刺激の強い「五辛」も食べないところは、欧米のビーガンとは異なるところ。タマゴや乳製品の位置づけも人によってまちまちで、肉はダメだが魚介類ならOKという人もいるから実に複雑だ。
そのため台湾ではベジタリアン用の食品を5類に分け、明示することを法律で定めている。
「五辛」とは、ネギ、ニラ、ニンニク、タマネギ、ラッキョウのこと。サラダドレッシングにタマネギが入っていることもあるので、サラダにも気が抜けない。かつお節で取っただしもNGだ。
菜食主義者にまだまだ理解の浅い日本へは、旅行客たちは「何も食べるものがないかもしれない」という不安を抱えてやって来る。そのため、彭さんのグループでは「食べられる料理」を出す店の情報がたびたびアップされ、店で示すための日本語のカードも用意されている。
しかし、コロナ禍で閉めた店も少なくない。万が一に備え、台湾から缶詰や調味料まで持参し、キッチン付きの部屋を取っての自炊も覚悟の上だ。
豚肉料理が印象的な沖縄だが、日本本土には少ない野菜や滋味深い島豆腐、海ブドウ、モズク、ジーマーミ豆腐と菜食者にも魅力的な食材も少なくない。沖縄ならではの菜食メニューをアピールすれば菜食者だけでなく、その同行者も呼び込んでくれるだろう。
(素材提供・沖縄彭大家族・彭國豪、聞き書き・渡邉ゆきこ)