住民側の訴えを却下 石垣自衛隊配備巡る住民投票の地位確認訴訟 那覇地裁


この記事を書いた人 琉球新報社
那覇地裁(資料写真)

 石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票を巡り、条例の要件を超える署名を集めたにも関わらず、市長が実施しないのは市民の権利の侵害だとして、市民3人が住民投票ができる地位にあることなどを確認する訴訟の判決で、那覇地裁(福渡裕貴裁判長)は23日、住民側の訴えを却下した。住民側は判決を不服として控訴する方針を示した。

 福渡裁判長は判決理由で、住民投票の実施を規定する市自治基本条例の条文(第27、28条)が削除されたことを指摘。「現時点において、同条に基づく住民投票において投票することができる法律上の地位は存在し得ない」と判示した。2021年9月に市議会は条例改正案を賛成多数で可決し、条文が削除されていた。

 判決は、条文が削除される前の時点での住民側の当事者性も検討したが、「(地位の)確認の利益があるとは認められない」とした。閉廷後、住民側の大井琢弁護団長は「人権救済の最後の砦としての司法の役割を放棄するもの」と判決を批判した。

 陸自石垣駐屯地は今年3月に開設された。住民側は、市自治基本条例の規定を超える1万4263筆の署名を集めて2018年12月、市長に住民投票条例の制定を請求。市長は市議会に条例案を提出したが19年2月、6月に否決され、住民投票は実施されなかった。住民側は19年9月、住民投票の義務付けを求める行政訴訟を起こしたが、2020年8月の一審判決、21年3月の二審判決で訴えを退けられ、同年8月に最高裁で敗訴が確定。住民側は21年4月に地位確認訴訟を提起した。