読谷村出身の平安さんに短歌研究新人賞 「パキパキの海」、応募総数794通から選ばれる 沖縄


社会
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平安まだらさん

 第66回短歌研究新人賞(主催・短歌研究社)の発表が11日にあり、読谷村出身の平安(ひらやす)まだらさん(34)=東京都在住=が受賞した。作品は「パキパキの海」(30首)。授賞式(未定)で賞状と賞金20万円が贈られる。応募総数は794通だった。

 平安さんは県内のデザイン系専門学校を卒業後、就職。2019年に上京し、ウェブデザイン制作の仕事に就いている。20年から作歌を開始、ナナロク社の新短歌教室の第一期生。普段は東京新聞を中心に新聞の歌壇欄に投稿している。新人賞への応募は3回目。22年には現代歌人協会主催第51回全国短歌大会の大会賞を受賞している。

 今回の受賞作の中から3首紹介すると―。「パキパキに色調補正されている海の写真にパキパキの笑み」「やらされるエイサーだった秋空に子どもの俺は写真のなかで」「金網に囚われている軟球を取り返そうと網ごと掴む」

 受賞作と選考経過は「短歌研究」7月号に掲載されるが、選考会では「『沖縄』をいかに詠むか、本作は現代におけるひとつの成果である」の発言が委員からあったという。

 平安さんは「まさか取れるとは思っていなかった。栄誉ある賞をいただきうれしい」と受賞の感想。作歌については「力を抜く。言葉に意外性を与える。テクニックに頼りすぎない」を心掛けているという。また「短歌を通して誰かとつながっていたり、読んでもらったりするのがうれしい。これからもそういう時間を大切にしたい」と話した。
 (上原修)