「素踊り」や創作舞踊で観客を魅了 男性舞踊家6人「蓬莱7」公演 沖縄・国立劇場おきなわ


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「春暁」を披露する(左から)上原崇弘、佐辺良和、大浜暢明、嘉数道彦、玉城匠、阿嘉修=4月29日、浦添市の国立劇場おきなわ

 若手・中堅の男性舞踊家6人による舞台「蓬莱(ほうらい)7」(シアタークリエイト主催)が4月29日、浦添市の国立劇場おきなわであった。化粧や髪結いをせずに踊る「素踊り」による「蓬莱」や舞踊劇「夢霞」、衣装や構成を工夫した創作舞踊「春暁」を披露した。阿嘉修、嘉数道彦、佐辺良和、大浜暢明、玉城匠、上原崇弘が出演し、魅力に満ちた舞台で観客を魅了した。昼の部を取材した。

 第1部は、第2回公演以来の創作舞踊「春暁」(舞踊・振り付け構成=阿嘉・嘉数・佐辺、音楽構成=仲村逸夫)を披露した。幕開けの「かぎやで風」では、紫と桃色の着物の上から羽織った紅型の着物の裾を下ろし、あでやかに舞った。箏の音色が美しい「七段」では、上原と佐辺が2人で互いに髪飾りを差し合い、うららかな春の日差しの下で遊ぶ乙女のようだった。

素踊りによる舞踊劇「夢霞」を披露する(左から)阿嘉修、嘉数道彦、玉城匠、上原崇弘、大浜暢明、佐辺良和

 第3部は、舞踊劇「夢霞」(脚本・演出=嘉数、舞踊・振り付け構成=阿嘉・佐辺、音楽構成=仲村)を披露した。第6回公演で初披露した内容をさらに練り上げて臨んだ。

 旅立った男たちが嵐の中、漂流の果てに花の精たちに助けられ、楽園に迷い込む。華やかな世界で遊ぶ男たちだったが、故郷の妻子が恋しくなって帰郷を決意すると、花の精たちが魔物に変貌。そこで目が覚め、出発前夜の夢の出来事だったと気付く。

 夫を見送る妻のけなげさ、旅立った男の勇壮さや孤独感、花の精のかれんさを、踊りと所作、表情のみで巧みに演じ分けた。荒々しい波を乗り越えるかいさばきから、ふわりと舞う花の精の動きまで、傘を使って多彩に表現した。

 第2部の独舞では、玉城が「揚作田」、嘉数が「瓦屋」、大浜が「加那よー」、佐辺が「本貫花」、上原が「まるまぼんさん」、阿嘉が「花風」を踊り、各々の魅力を存分に発揮した。

 歌三線は仲村逸夫、玉城和樹、喜納吏一、平良大、箏は池間北斗、笛は入嵩西諭、胡弓は森田夏子、太鼓は久志大樹。

(田吹遥子)