沖縄に配置の海兵沿岸連隊、中国抑止の「前方展開」を強調 米海兵隊司令官インタビュー 「紛争、望んでいない」


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インタビューに応じる米海兵隊のデービッド・バーガー司令官

 【ワシントン共同】米海兵隊トップのデービッド・バーガー司令官は25日、ワシントンで共同通信の単独インタビューに応じた。2025年までに沖縄に配置する海兵沿岸連隊(MLR)の役割について、台湾に軍事圧力を強める中国を抑止し、前方展開を続けることだと強調した。海兵隊は、自衛隊と共に「強固な統一戦線を形成する」と述べた。

 沖縄へのMLRの配置は、1月にワシントンで開いた日米安全保障協議委員会(2プラス2)で公表。小規模部隊を分散展開させる「遠征前方基地作戦(EABO)」に特化した部隊となる。

 バーガー氏は「誰も紛争が起こることを望んでいない」として、戦闘になる前に抑止力を働かせる重要性を訴えた。

 中国の習近平国家主席を念頭に、意思決定者が台湾侵攻に関して「非常に難しく、コストがかかることだと思わせるような態勢を取る」と語った。

 中国が過去10~15年間でミサイル部隊を増強したと危機感を示し、沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」の軍事的な重要性を指摘。中距離ミサイルの配備計画は現段階ではないとした上で、仮に日本に配備する場合は政府間の協議が必要だとした。

 また在日海兵隊を統括する第3海兵遠征軍と自衛隊は「非常に緊密な関係にある」と強調。MLRには対艦、防空能力のほか後方支援の機能もあり、自衛隊の活動を補完できると説明した。

 沖縄ではMLR配置に対し、武力衝突に巻き込まれる可能性が高まるとの懸念が強い。日本に計3年間赴任したというバーガー氏は「日本に部隊を置くことで、日米の連動性を保ち、迅速に対応できる」と意義を強調した。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設については「MLRの配置とは関係なく進む」とした。

 中国との意思疎通を維持する必要性にも触れ、6月2~4日にシンガポールで開催されるアジア安全保障会議の際に、オースティン国防長官は中国の李尚福国務委員兼国防相との会談を望んでいると指摘した。