沖縄県が「宿泊税」導入へ、年間42億円の税収見込む 観光業界「時期尚早」けん制の声も


社会
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観光客ら人流回復の兆しが見られる国際通り=2月13日午後、那覇市(ジャン松元撮影)

 持続可能な観光地づくりに向けた観光新税(宿泊税)への注目が集まっている。県は2026年度に宿泊税を導入する計画で、年間42億円の税収を見込む。市町村も独自の宿泊税を検討する動きが出ている。県は米ハワイ州なども念頭に第6次県観光振興基本計画で「量から質への転換」を掲げ宿泊税を観光施策に活用したい考えだが、コロナ禍からの景気回復を阻害しかねないとして観光業界から「時期尚早だ」とけん制する声も上がる。

 県「質への転換に」 観光業「時期尚早」

 県の19年の素案では、宿泊者はホテルや旅館、民泊などで宿泊する際に1人1泊5千~2万円未満は200円、2万円以上は500円を宿泊税として徴収することを想定している。観光客から徴収した宿泊税は、県観光振興基金(仮称)として取りまとめ、県と市町村にそれぞれ配分して事業に反映させる計画。配分や使途などはまだ決まっていない。

 石垣、宮古島、本部、北谷、恩納の5市町村も宿泊税の導入を検討している。県は、独自に宿泊税を導入する市町村に観光客が宿泊する場合は、税の配分を県と市町村で折半することで、二重課税を防ぐとしている。ただ、宿泊税を独自に導入した市町村とそうでない市町村とでは配分される税が異なることも予想されるため、制度設計を見直すべきだという意見もある。

 当初はレンタカー税や入域税も検討されたが、入域客全員がレンタカーを使用するわけではないことや、支出に応じた税負担にならないことから、レンタカー税と入域税を排除した。その結果、制度設計がしやすい宿泊税が有力視されることになった。

 県は今後、観光関係者や市町村などと意見交換をしながら、議論を進める。条例化に向け、利害関係者の意見を集約し、幅広い理解を得た上で制度設計できるかが問われている。
 (與那覇智早)