復帰50年報道、沖縄県内と全国に差 「基地被害伝わらず」の指摘も 対外問題研シンポ


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沖縄対外問題研究会のシンポジウムで、復帰50年の県内・全国メディアの報道について話し合う(左から)琉球新報の島洋子編集局長、ジャーナリストの諸見里道浩氏、沖縄タイムスの森田美奈子論説委員長=27日、那覇市久茂地のタイムスビル

 沖縄対外問題研究会は27日、那覇市久茂地のタイムスビルで、2022年5月15日の沖縄の日本復帰50年をメディアがどう伝えたか検証し、話し合うシンポジウムを開いた。沖縄に関する報道内容や量が県内と全国で差があることが示された。

 NHK放送文化研究所が3月に発売した「特集沖縄『復帰』50年」の中で、新聞の復帰50年報道を検証した元沖縄タイムス編集局長でジャーナリストの諸見里道浩氏が基調報告をした。

 諸見里氏は、全国紙を中心に沖縄の基地負担軽減への理解が示されると同時に、中国の軍事的脅威や「台湾有事」が自明のように語られているとして「日本の安全保障政策の転換と沖縄の基地問題、中国の脅威を結び付け、新しい日米安保体制の構築を了承する流れになっている」と指摘した。

 特集を企画した前NHK研究所の七沢潔氏は、22年1~8月の地上波の沖縄関連報道時間量の内訳として、「沖縄」に続くセカンドキーワードでは「コロナ」が31%と最多を占め、次いで「米軍・基地」が13%だったと報告した。「復帰・返還」は8%で、ほとんどが5月に集中した。「コロナや安全保障という、現実に降りかかってくる問題に(復帰は)ほとんど埋もれてしまった」と話した。4月に「基地」をニュースで取り上げた本数について、県内のローカル放送では97本だったが全国では4本のみだったとして「日々生活を脅かす基地被害の実感が、全国にはほとんど伝わっていない」と指摘した。

 琉球新報の島洋子編集局長は、南西諸島の防衛強化の必要性や「台湾有事」の危険性が盛んに主張される中でも「沖縄戦の教訓である『軍隊は住民を守らない』ということを愚直に訴えていく。そして外交の重要性を主張していくのが沖縄の新聞社としての役目だと思う」と話した。

 朝日新聞の木村司前那覇総局長、沖縄タイムスの森田美奈子論説委員長もそれぞれの報道などを報告した。 
  (沖田有吾)