「悲惨な歴史繰り返さず」 南洋群島慰霊の旅、遺族ら35人出発 サイパン島など訪問へ 沖縄


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南洋群島・慰霊と交流の旅でサイパンに向け出発する参加者ら=31日、那覇空港2階のでいごの間

 太平洋戦争時に南洋群島で亡くなった県出身戦没者を追悼する「南洋群島・慰霊と交流の旅」の出発式が31日、那覇空港で実施された。台風2号の影響を受け、出発を1日前倒した。5泊6日の旅でサイパン島やテニアン島の慰霊碑を訪ね、現地の人たちと交流する。49~95歳の遺族ら35人が那覇を飛び立った。

 出発式ではツアーを計画した国際旅行社の與座嘉博社長と、南洋群島帰還者会の上運天賢盛会長(91)があいさつ。上運天会長は「御霊(みたま)を慰めるのではなく(私たちは)元気だよと、お礼を申し上げてください」と参加者を送り出した。

 姉弟で参加する遺族の新田友子さん(65)と兼城次男さん(60)=いずれもうるま市=は、父方の祖父母と2人の叔母をサイパン戦で失った。新田さんは、今回参加できない99歳の叔母と89歳の父の思いを胸に、「沖縄にいるみんなのことを見守って」との思いを戦没者らに伝えるという。

 兼城さんは昨今の社会情勢を懸念し、「(悲惨な)歴史が繰り返されることがないように」と願いを込めた。 (西田悠)