なぜ「暴風域」は消えたのに「暴風警報」は続いたの? 台風のフシギ、気象台に聞いてみた


この記事を書いた人 Avatar photo 仲井間 郁江

 沖縄地方に接近した台風2号。今回の台風は、暴風警報発表中の1日午後3時頃に「暴風域」がなくなった一方、沖縄本島地方への「暴風警報」は続き、解除は2日午前3時45分だった。

 暴風警報発表中に暴風域がなくなることについて、沖縄気象台の担当者は「台風が沖縄地方に接近しながら勢力が弱まることもあり、こういうケースは十分あり得る」と説明する。

 気象庁によると、暴風域とは、台風の中心付近で風速25メートル以上の風が吹いているか、吹く可能性のある領域を円で示す。

一方、暴風警報は、平均風速がおおむね20メートルを超える場合に出すもので、沖縄気象台は風速25メートル以上の時に暴風警報を発表し警戒を呼び掛ける。

 暴風域と暴風警報は「=」イコール(同じ)ではないのだ。

 今回、台風2号の中心付近の風速は1日午後2時の30メートル以上から、同3時の観測で25メートル以上に弱まったため、暴風域の領域はなくなったが、中心付近のごく狭い地域では引き続き25メートル以上の風が吹いており、警戒が必要だったという。

 沖縄気象台の担当者は「暴風域の『円』での表示がなくなったので、ぱっと見では暴風が消えたと思われたかもしれないが、中心のごく狭い地域では風速25メートルの風が吹いており、警報は引き続き発表していた」と説明した。

 台風2号は5月20日、沖縄のはるか南のカロリン諸島の海上で発生し、海面水温30度前後のエリアを北上しながら急発達した。

 台風は海水温が27度以上あると発達しやすいが、5月31日時点の沖縄地方の海水温は25~26度で推移しており、台風の勢力が徐々に弱まった影響もあるとみられる。