朝な夕なに/なかもと須美<琉球詩壇・6月3日>


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朝な夕なに

なかもと須美(うるま市)


 

よどみなく過ぎる
時の流れには 逆らえぬものの
こんこんと湧き出づる泉の如くに
人それぞれの
こころの泉から発生する
人情のあたたかさに
世情のにがにがしさに
よろこびとかなしみに涙するも
四季おりおりの音調に
身も心も癒されながら
朝な夕なに
わたしはここに
生かされて 生きている
いつの日にか
行年のバトンが
わが手元に辿り着く先ほどに
無類なきものよ
おんみの御意志(みこころ)だと―
しかと受け入れさせたまえ
わたしは今
広大無辺際の天空から
吹きかけられた薫風を
身にまといながら
はるか遠くで または近くで
難きに悩む人たちの日常に
心を寄すも
詮方なき後高齢の足腰でも
朝な夕なに
何ごとかを書き残さねばと…


西原裕美・選

寸評

生きてきた時間と、人の持つ力強さのようなものを感じさせる。