国内のペットのイヌとネコの血液に、人で健康影響が懸念される有機フッ素化合物「PFAS」が含まれていることが、愛媛大と北海道大の研究チームによる5月30日までの調査で分かった。汚染された室内のほこりなどを通じ体内に入ったとみられる。
チームの野見山桂・愛媛大准教授(環境化学)は「自然環境だけでなく室内でも汚染が進んでいることの表れで、全国で実態調査が必要だ。室内で過ごすことが多い乳幼児にも影響している恐れがある」と指摘する。
チームは2021~22年、北海道と大阪府の動物病院を通じ、屋内飼育のイヌとネコ計31匹の血清を採取。34種類のPFASの濃度を調べた。
PFASは31匹全てから検出された。その組成から、ハウスダストや食べ物などを通じて体内に取り込まれた可能性が高いと考えられる。
濃度の中央値は、イヌで血清1ミリリットル当たり北海道が1.8ナノグラム(ナノは10億分の1)、大阪府が2.7ナノグラム。ネコは北海道が1.7ナノグラム、大阪府が7.7ナノグラムだった。人の事例から考えると低くない値で、何らかの健康影響が出る可能性があるという。
ネコの方が濃度が高いのは、毒物の排出機能がイヌより弱いほか、頻繁な毛繕いでハウスダストを体内に取り込みやすいためとみられる。さらに大阪府では過去の調査でPFASの一種が高濃度で検出されており、チームはペットの血中濃度にも影響を与えていると分析。「PFASそのものを減らす必要がある」とした。
成果は徳島市で開催中の環境化学物質3学会合同大会で6月1日に発表する予定。