若者の明日を支える居場所 ユースセンター・アシタネ(那覇松川)夜間開所、オンラインも 世代超え交流「頼れる人増やして」


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VRゴーグルを装着して仮想空間「メタバース」を紹介する仲嵩陸由さん=5月24日、那覇市松川のユースセンター・アシタネ

 不登校や引きこもりに悩む子どもや若者を支援する青少年自立援助センターちゅらゆいが3月、孤立した若者や居場所のない人のための夜間の居場所「ユースセンター・アシタネ」を那覇市松川に開所した。利用は無料で対象年齢は13~39歳。不登校、ひきこもり、ニート、フリーターなど学生・社会人を問わず誰でも通える。オンライン参加も可能で平日の17時から22時まで居場所を提供する。

 アシタネではカリキュラムやゴールの設定はなく、利用者の「メンバー」は自由に過ごせる。ちゅらゆい事業推進部の今木ともこさんは「自分で何でもできるようにと自立を目指すのではなく、助けてもらえる先をたくさんつくって」とメンバー拡大を呼びかける。

 ちゅらゆいはこれまでに、中高生など不登校の若者らを対象とした子どもの居場所「kukulu(ククル)」=那覇市牧志=などで事業を展開してきたが、活動の中で若者を取り巻く事件・事故が夜間に起こる傾向や夜に帰宅できない若者の事情などが浮き彫りになった。これを受け「休眠預金等交付金」(JANPIA運営)を通じてアシタネの開所に至った。

 アシタネではメンバー同士で一緒に映画を見たり食事をしたりすることができるほか、1人用のブースなども設けられており、自分のペースで周囲との関係を築くことができる。「1人暮らしを始めた」「大学に通い始めた」「運転免許を取った」など個々のメンバーの話題を機に、世代を超えた情報交換やアドバイスが行われることもある。移動が困難なメンバーにも目を向け、インターネット上の仮想空間で交流できる「メタバース」でオンライン講座も実施されている。

 週に一度のペースでアシタネに通う仲嵩陸由(むつき)さん(20)は「自宅の延長線上のようでリラックスして過ごせる」と居心地の良さを語る。

 アシタネで施設利用による効果を調べ、オンライン講義を請け負う沖縄大学の宮城能彦教授(社会学)は「その場限りでの居場所だけでなく、地域社会との結びつきのきっかけをつくれれば」と長期的な展望を示す。

 アシタネの問い合わせは電話098(851)8170まで。 (西田悠)