議長室での現金受け渡し問題 県警が捜査 那覇市前議長は「受領ない」と否定


この記事を書いた人 琉球新報社

 那覇市有地の所有権を巡り、不動産コンサルタント会社代表の男性らから同市議会前議長の久高友弘氏らに議長室で現金5千万円の受け渡しがあった問題で、県警がこれまでに複数の関係者から任意で事情聴取し、関係資料を押収するなど贈収賄事件の可能性を視野に捜査を進めていることが7日までに関係者への取材で分かった。久高氏は今月、琉球新報の取材に「5千万円は女性が全額受け取り持ち帰った。謝礼など現金は一切受け取っていない」と述べ、一貫して否認した。

 関係者によると、5千万円のうち、3千万円は権利書類の買い戻しに使われ、残りの大半は関連した調査費や手数料に用いられた。県警はこれまで、男性に任意出頭を求め事情聴取を重ねていて、4月には男性から久高氏と女性の署名が入った額面5千万円の領収書等を押収した。また、現金受け渡しに立ち会った関係者などからも任意で事情聴取を行い、久高氏に何らかの見返りがなかったかなど慎重に調べを進めている。

 会社代表の男性は琉球新報の取材に、2020年12月以前に久高氏から現金5千万円の要求があったと話し、「議会対策費などの名目で渡した」と贈賄行為を認める発言をしている。男性によると、久高氏は議長室で会派別の議会構成や百条委員会などの設置に向けた説明をし「金がないと動けない」と述べ、現金の拠出を求めたという。

 当時を知る関連業者代表は琉球新報の取材に、議長室で久高氏と現金の受け渡しがあり、その中で議会対策の話が出ていたと明かす。

 一方、久高氏は一連の話は男性側から持ちかけてきたとし、その際、所有権回復のために調査費などが必要だと説明したが、具体的な現金の要求はしていないとしている。久高氏は「議会対策費などの話は(男性が)金主から金を出させるためにでっち上げた口実だ。議員として、市民のためにと思い土地所有権の回復に力を注いできた。現金を受領した覚えはない」と主張した。

 久高氏に所有権回復を委任している女性は取材に、現金は市有地の所有権が回復した後、男性側に用地転売する契約の手付金で自身が全額受領したと説明している。

 男性側は久高氏と女性を詐欺の疑いで6日、那覇署に刑事告訴状を提出した。一方、久高氏側も男性が断りなく土地の関係書類を持ち出した上、再三の返還要請に応じないとして、刑法上の対抗手段を講じる考えを示している。