沖縄県の本部港塩川地区で、辺野古新基地計画へ抗議活動をする市民らに対し、沖縄防衛局の職員が「気違い」との差別発言をした。この出来事について識者の見解を聞いた。
今回の発言は明らかなヘイトスピーチである。公的機関の職員が市民に向けた発言である以上、単なる暴言では済まされない。防衛大臣など責任ある立場の人が謝罪するだけでなく、この発言が差別であり偏見であるということを認めることが必要だ。そうして責任を果たさなければ、こういった発言が社会において繰り返されてしまう。
「気違い」という発言は市民に対する冒瀆(ぼうとく)であり、障がいのある人を傷つける言葉でもある。何でも発言できるインターネットの影響も受け、人間の尊厳、存在を傷つけることに無自覚な人が増えているのではないか。沖縄防衛局の非常勤職員が発言したということだから、一個人の問題だというだけではなく、防衛局という組織、さらには日本社会の問題だともいえる。
さらに気になるのは、真剣に抗議している人たちに対する、嘲笑、冷笑、罵倒の態度だ。座り込みなどの手段を通じて反対運動をする人たちは奇異な存在だ、という認識が社会にあり、それが沖縄防衛局の職員にも刷り込まれているのではないか。そこで議論せずして罵倒することは、日本から見た沖縄というマイノリティーを全否定することでもある。