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「ベースはオタク」夢へ一択、掴んだ大役 アニメ「大門寺と問題児」で主人公役 那覇市出身の森田麻莉さん声優本格デビュー〈夢かなう〉


この記事を書いた人 琉球新報社
人気漫画「大門寺と問題児」がYouTubeアニメで登場、主役の声優を務める那覇市出身の森田麻莉さん

 集英社の月刊漫画雑誌「最強ジャンプ」で連載中のギャグ漫画「大門寺と問題児」。この人気漫画がYouTubeアニメとして登場、主人公のまひるの声を那覇市出身の森田麻莉さんが担当している。アニメのメインキャラにフィットした声は映像にすっかりなじむ。マルチな伸びしろを感じさせる才能が本格デビューを飾った。

  ■ぶっ飛びキャラがフィット

 「大門寺と問題児」は、漫画家・佐世保太郎さんの作品。とある小学校の5年2組を舞台に担任教師の大門寺門大と、問題児・まひるの奇想天外、抱腹絶倒な日々を描く。漫画主人公の大門寺先生役を神谷浩史さん、まひるパパの役は小野大輔さんが演じる。声優界の巨匠に挟まれる格好で、森田さんは「夢のような心地」と話す。

 公開されている動画は縦型ショートアニメという形式。内容はギャグ漫画に分類されるが、現代の閉塞感を打ち破るような突き抜け、常識を歯牙にも掛けない、まひるのぶっ飛び具合も人気の要因と評され、森田さん演じる声が見事にマッチする。「まひるが目の前にいる」とリアルとアニメが入り交じる。

「全国の人へ夢を届ける仕事がしたい」とこれからの目標を語る森田麻莉さん

 ■松元梨香さんのイベントが運命の始まり

 那覇市首里出身の森田さんは城北中、首里東高校に進んだ。中学の頃から声優への夢を一択にしてまい進。きっかけをつくったのが両親だった。「アニメオタクで、ベースはここにある」と笑う。

 そして小学3年生の時、ある声優との運命の出会いが訪れる。ポケットモンスターのサトシ役でも有名な、松本梨香さんのイベントが那覇市内であり、その場で掛け合いをした。今も鮮明な記憶として残り「ずっと憧れ人。私にとってのエンターテイナー」。高校卒業後に進む道は迷うことなく決まった。

 代々木アニメーション学院で学んだが、平たんな道ばかりではない。学費を賄うために新聞奨学生として通学した。朝夕の新聞を自転車で配達し、その合間を縫って学んだ。夢を追う若さが力の源泉となったが、一回だけくじけそうにもなった。「しんどいと、親に連絡したことがあった。でも『決めた道でしょ』と言われて、ああそうだ、自分で決めたんだ」と気合が入ったという。天真爛漫な性格も手伝い、切り替えは早く、再び夢の実現に地道に取り組む。

 上京し何より驚いたのは環境だ。県内なら海まで見渡せる空の広さがない。「都内はビルが林立して空が狭いなあ。街はきれいですけど」。今はようやく生活になじみ、張り合いが出てきた。

 ■「全国の人へ夢届ける」

 昨年7月に声優事務所「アンドピクセル」(東京都)に所属声優として入所した。徐々に吹き替えや舞台、ラジオと活躍の幅を広げ、歩を進める。「声優としてチャリティーライブをするのが目標」と話す。

 松本さんとの出会いで芽生え、背を押されたエンターテイナーの力を信じている。「全国の人へ夢を届ける仕事がしたい。アニメも出たいし、ソーシャルイベントも絡めたメディアミックスができれば。そのためには、機会があればいつでも大丈夫です、と言えるようにスキルを磨いている」。明朗快活に語って、将来像を描いた。

(斉藤学)