玉城知事、反撃ミサイル配備に反対 安保3文書改定を受けて初の要請 防衛、外務両省に対話による平和構築促す


この記事を書いた人 琉球新報社
反撃能力のあるミサイルの県内配備に反対する要請を行った後に防衛省で会見する玉城デニー知事=9日、防衛省

 【東京】玉城デニー知事は9日、「国家安全保障戦略」など安保関連3文書の改定に伴い、政府が保有を決めた反撃能力(敵基地攻撃能力)を有するミサイルを県内に配備しないよう求める要請書を防衛省に提出した。昨年末の安保3文書改定に関する県の初めての要請。沖縄を含む南西地域の防衛力強化が打ち出されている点を踏まえ、自衛隊を含めた基地負担軽減や嘉手納基地でのF22ステルス戦闘機の暫定配備に伴う騒音被害への対応も防衛、外務両省に求めた。

 玉城知事は9日、防衛省で井野俊郎、外務省で武井俊輔の各副大臣と面会し、浜田靖一防衛相、林芳正外相宛の要請書を提出した。

 防衛省には、3文書に明記された沖縄を含む南西地域での防衛体制強化の方針を踏まえ、反撃能力を有するミサイルの県内配備への反対や自衛隊配備についての丁寧な説明、情報提供などを求めた。

 外務省には、在沖米軍既存部隊の「海兵沿岸連隊(MLR)」への改編など米軍再編計画の説明、嘉手納基地の騒音被害の軽減などを要望した。

 ミサイルの県内配備について防衛省側は「配備先は決まっていない」としたものの、「南西地域への部隊配備は抑止力になり、攻撃される可能性を減らすものと考えている」との回答があったという。

 玉城知事は「抑止力を高めるということがかえって地域の緊張を招くようなことがあっては決してならない」と強調し、「抑止力を高めるためだけの理由で配置をするということには賛成しない」と県内配備の流れを牽制し、対話による平和の構築を促した。

 要請とは別に、石垣市南ぬ浜町の新港地区への防衛省・自衛隊による地対空誘導弾パトリオット(PAC3)展開で、全日本港湾労働組合(全港湾)沖縄地方本部の組合員が自宅待機を余儀なくされた件についても「住民生活に影響が出ている」として地元への説明、配慮を求めたとしている。
 (安里洋輔)