【記者解説】政府「配備先は未定」とする中、沖縄・玉城デニー知事が全国初の「反対」伝達に動いた理由


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日米共同統合演習「キーン・ソード」の一環で行われた地対艦ミサイルを利用した訓練=2022年11月10日、八重瀬町の陸上自衛隊南与座分屯地(小川昌宏撮影)

 玉城デニー沖縄県知事が都道府県知事として全国で初めて敵基地攻撃能力(反撃能力)の県内配備反対を伝えた背景には、過重な基地負担が日本復帰後も解消しない中、在外の発射拠点をたたくような長射程ミサイルが配備されれば、攻撃の的になることが現実味を増すとの危機感がある。政府が配備先は未定だとする中、機先を制した。

 在沖米軍の既存部隊の「海兵沿岸連隊(MLR)」への改編に対し、負担軽減のための明確な移転計画を示すことも要請した。自衛隊配備を進めるのであれば、米軍基地の整理縮小を併せて行うよう求めたのも特徴だ。

 防衛力の「南西シフト」が進む中、米軍施設と自衛隊専用施設を合わせた施設面積は増加傾向にある。日本復帰以来の願いである基地負担の大幅な軽減がいまだ実現されないことについてもくぎを刺した形だ。

 政府は今回、副大臣級の対応にとどめるなど「冷遇」姿勢も浮かんだ。だが、敵基地攻撃能力の保有への不安は立場の違いにかかわらず県民の中で広がる。基地の整理縮小が遅々として進まない中、それが故に再びの戦禍を恐れながら生活しなければならない状況に政府は向き合う必要がある。

(知念征尚)