火傷/おおたにあかり 選外佳作・月夜とカニ/たえ<琉球詩壇・6月10日>


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 隆尋

火傷 

おおたにあかり(高知県)


 

その後に続く
言葉を
おぼえていない

聞いていられなかったから

あなたが
必死であればあるほどに
わたしは
どちらも向けなくなった

「やけどね、、、」
そうこれは方言で
「だけど」と同じ意味
言い訳の前につく言葉

「火傷ね」
ふいに脳内変換されて
再生されてしまったものに
手を触れる
火なのか悲なのか秘なのか
区別がつかず

ここにあるはずはない
やけど
胸に手を添えて
窓の外、雨音、車が行き交う
微かに混じる
届かない声する方に

かたちだけ傾いていた


西原裕美・選

寸評

発想のユニークさだけでなく、丁寧に言葉が紡がれている。


 

選外佳作1

月夜とカニ

たえ(沖縄市)

 

つんつん月夜の お月さま
そこからボクが 見えますか

ちいさな ちいさな ボクだけど
つんつん月夜の お月さま
いつもやさしく 見てくれる

つんつん月夜の お月さま
ボクのはさみが 見えますか

つんつん月夜の お月さま
今夜もボクは 横歩き
海をめざして 歩きます

つんつん月夜の お月さま
あなたの明かりに 守られて
今日もボクは 生きてます

つんつん月夜の お月さま
今夜もボクは 生きてます