北京で暮らし始めて4カ月がたとうとしている。日頃、ネットスーパーやEC(電子商取引)サイトを利用する中で、中国の宅配サービスは、単身者と高齢者の生活を支える重要なインフラになっているのではないかと考えるようになった。
5月末、私は風邪をひいた。病院へ行った日の夕方、私は発熱し、ベッドから起き上がれなかった。沖縄から持ってきた解熱剤が残りわずかとなり、焦った。少し休んで、友人に風邪をひいたと伝えると、ネットで市販の薬と冷却シートを注文してくれ、1時間後に私の手元に届いた(新型コロナウイルスの検査キットと薬は翌日)。その間、私はネットスーパーで飲み物や果物を注文し、40分後に受け取った。
沖縄だと自分で買い物に行くか、親戚や友人らに届けてもらうかしかない。沖縄でもネットスーパーを利用していたが、当日配達の受付時間は店によって異なり最大午後3時までに注文する必要がある。
また、ここは一つのアプリで近隣にある複数のネットスーパーを利用できるため、複数のサイトに登録するという煩雑さはない。配達先も複数登録でき、緊急で物資を必要としている家族・友人らへ送ることもできる。
加えて、中国には再配達問題がないように思う。置き配サービスだけでなく、スマート宅配ボックスがあるからだ。ボックスは、オフィスや集合住宅地に設置されている(私の場合はボックスまで徒歩2分)。私が勤める大学の各門にもあり、寮住まいの学生が出前の受け取りなどで利用している。
このサービスは、受取人が不在の時あるいは配達員が建物に入れない場合、配達員がボックスに荷物を入れ、受取人のスマートフォンに配達完了の通知とボックスを開けるための暗証番号を送付する。受取人は暗証番号を入力し、宅配ボックスから商品を受け取る(受け取りが2、3日遅れた場合は遅延料金が請求され、WeChatペイなどで支払う)。ボックスから商品を受け取るとすぐに携帯アプリに完了通知が届く(置き配完了時も同様)。
何度か利用して分かったが、何らかの問題が起きた場合(私の場合は違う場所に配達された)、アプリ内のカスタマーサービスか配達員にテキストメッセージで連絡すると解決できる。このため安心して利用できるのだ。
このような生活ライフラインを支えるビジネスが沖縄にも導入されると、私のような単身者だけでなく、高齢者をはじめ、遠方の家族や友人を心配する人にとっても暮らしやすい社会になるのではないだろうか。 (第1~4日曜掲載)