剣道の県連盟創立70周年記念・第60回県男子選手権大会と第22回県女子選手権大会が11日、那覇市の県立武道館で行われた。男子決勝は屋富祖俊貴(県警)が上地安一郎(同)との延長戦を制し、女子決勝も竹下思美(興南高―中京大)が仲西花音(県警)との延長戦を制し、ともに初優勝を果たした。男女の優勝選手は全日本選手権大会(男子=11月、東京・日本武道館、女子=9月、奈良・ジェイテクトアリーナ奈良)の出場権を獲得した。
竹下、延長4回も集中維持
女子決勝、竹下思美(中京大3年)は相手の動きを見ていた。飛び込み面を狙うと、相手は小手を狙ってくる。前に出ると、後ろに退いて間合いを外してくる。相性が悪い相手との戦い。試合は延長戦3回を終えても決まらなかった。それでも焦らず、相手が前に出るのを待ち続けた。
延長4回。相手が攻勢に転じた。それに応じて竹下も前へ。相手を隅に追い込み姿勢を崩したところに面を打ちこんだ。「我慢の試合だったが、集中を切らせず、最後は思い切り飛び込めた」と汗をぬぐった。
愛知の大学に進学した後、沖縄にいる家族に勇姿を見せる機会がなかった。この日、会場に駆け付けた父母と弟3人、祖父にいとこら総勢9人の応援団に「優勝する姿を見せられてうれしかった」と笑う。
5月の東海女子学生大会は2位。今大会優勝の余勢を駆って、7月の全日本女子学生、9月の全日本女子に臨む。集中を切らさないための肉体強化、相手に応じた試合の組み立て、繰り出す技をつなげていくことを課題に挙げた上で「強い選手がたくさん出るが、攻めて取る自分の剣道を貫き、恥ずかしくない試合をしたい」と闘志を燃やす。
(安里周悟)
屋富祖、相手読み「打つ時は全力」
「作戦はなかった。胸を借りるつもりで、自分ができる技を全て出し切った」と汗を滴らせた屋富祖俊貴(県警)。機動隊入隊時に指導を仰いだOBの上地安一郎との延長戦を制し「大先輩方を相手に優勝できるとは思っていなかった。まだ実感はない」と語った。
「イケイケドンドン、自分勝手な剣道だった」と、かつての自らを評す。思うように勝てなくなってきたため、昨秋から「相手の動きを見て、読んだ上で打つ」ように自らの姿勢を改めた。この日は、決勝も含め全ての試合で落ち着いて構えられた。
「打つ時は全力」と無駄打ちは徹底的に避けた。延長戦に突入しても焦りはなく、2回目に勝負を決めた面は「相手が技を出してくると感じた一瞬、体が反応していた」という。
自らの変化を感じつつも「きょうはたまたま、うまくいっただけかもしれない。改善点はまだ多い」と優勝に慢心せず、さらなる精進を誓う。小さいころから憧れてきた大舞台、全日本選手権では「まずは初戦突破。一生懸命頑張りたい」と力を込めた。
(安里周悟)