【写真】名護市の「旭川鉱山」周辺で陥没相次ぐ 直径10メートルの穴も 河川の無許可改良が要因か 地域住民「大規模災害」を懸念


この記事を書いた人 琉球新報社
旭川鉱山の隣接地の陥没した場所。12日の大雨で水がたまっていた=13日午前、名護市旭川
旭川鉱山=2018年10月、小型無人機で撮影

 【名護】名護市旭川の「旭川鉱山」に隣接する民間地で、土地の陥没や土砂流入などの被害が相次いでいる。直径約10メートルの穴が開いている場所もある。鉱山の開発事業者が敷地内に流れる河川に改良を加えたことで、周辺地が浸水し、陥没した可能性がある。県北部土木事務所は事業者に対して複数回にわたって早急な原状回復を求めており、直近では6日に口頭で行政指導を実施した。周辺住民からは「大規模災害につながりかねない」として、懸念の声が上がっている。

 旭川鉱山には、西屋部川に流れ込む河川が敷地を縦断するように流れている。事業者は、河川が敷地に流れ込む入り口から「カルバート」と呼ばれるコンクリート製の水路を設置し、その上を土で固めるなどの改良を加えていたとみられる。周辺は砂防法に基づく「砂防指定地」に指定されており、許可なく改良を加えることが制限されている。

旭川鉱山の周辺の民間地で、陥没した土地=5月23日、名護市旭川

 北部土木事務所によると、事業者側に対して砂防指定地を許可なく改良を加えた点や、国有地の「無地番地」に当たる河川の使用許可手続きがなされていないことに対して、改善を求めている。13日には土木事務所、県北部保健所、名護市役所屋部支所長が現場を視察し、周辺住民から意見を聞いた。

 陥没があった土地の所有者によると、事業者が河川に改良を加えた後、大雨が降るたびに水があふれているという。今年3月に土地の中央部が陥没したことが確認された後、陥没する場所は増えている。13日の視察では、12日の大雨でミカン畑に鉱山から土砂が流れ込んだとみられる場所も確認された。

 取材に対して、事業者は「許可を受けて適正に事業をしている」との認識を示しつつ「河川を元に戻すことなどを含めて対応を考えていきたい」と述べた。住民らによると、大雨で周辺道路が水につかるなどの被害も相次いでいる。鉱山採掘の許認可権を持つ沖縄総合事務局など、行政側による強い関与を求めている。
 (池田哲平)

旭川鉱山の隣接地で、ミカン畑に流れ込む土砂=13日、名護市旭川
旭川鉱山の隣接地で陥没した箇所を視察する県職員ら=13日、名護市旭川
旭川鉱山の敷地内を視察する周辺住民、県、名護市の職員ら=13日、名護市旭川