琉球海運の新ロジスティックスセンターが完成 物流効率化で「2024年問題」にも対応 翔南製糖跡地に県内最大級


この記事を書いた人 琉球新報社
新物流拠点の内覧会で施設内を見学する関係者ら=14日、豊見城市の琉球ロジスティクスセンター

 琉球海運(那覇市、宮城茂社長)が豊見城市長堂の翔南製糖跡地で建設を進めていた総合物流センター「琉球ロジスティクスセンター」がこのほど完成し、14日、落成式が催された。県内最大級の物流拠点。県内物流の効率化で配送コストの削減や環境負荷の軽減が期待される。物流にかかる走行距離を大きく短縮できることから、宮城社長は「トラック運転手の残業規制が強化される『2024年問題』を前に、人材不足にも対応したい」と語った。

 敷地面積4万8804平方メートル、地上2階建てで延床面積が計4万232平方メートルで、2021年1月に着工し、6月2日に落成した。総事業費は約80億円。常温と3温度帯の冷温施設を完備し、商品を自動で出荷口へ搬送する仕分けソーターや災害時にも自社で給油が可能になる給油設備も採用した。同社の物流拠点としては国内7カ所目で、20日から本格稼働する。320人を新規に採用し、うち250人を正社員として雇用している。

 2024年4月から、残業上限を年960時間とする規制がトラック運転手に適用される。輸送能力低下が懸念されることから「2024年問題」として物流業界は危機感を強めている。低賃金や長時間労働などで人手不足が常態化する中、労働環境の改善につながるとの期待がある半面、1人の運転手が運べる荷物が減るため、配送が遅れたり、送料が高騰したりする懸念もある。同センターの稼働に伴い、琉球海運は人材確保や物流の効率化などで県内の物流を支える考えだ。

 落成式には、入居するイオン琉球(南風原町)の鯉渕豊太郎社長やセンターが設立された豊見城市の徳元次人市長らも出席した。宮城社長は「那覇港や高速道路のインターチェンジにも近く、物流センターとしての好条件がそろった立地。配送コストの削減、環境負荷の軽減につなげられる」と述べた。

 新センター開設によって、イオン琉球は県内各店舗までの移動距離を約30%(約73万キロ)短縮。年間約430トンのCO2削減を図る。鯉渕社長は「物流の効率化で店舗サービスの向上や悪天候時の欠品防止につなげたい」と述べた。

 徳元市長は「県内最大級の物流センターの設立により、地域経済が大きく活性化する」と期待を寄せた。玉城デニー知事は「島しょ県である沖縄県において、生活物資を運搬するライフラインとして海上交通は欠かせない。県が目指す国際物流拠点形成のためにも県内物流の高度化、効率化は重要だ」とメッセージを寄せた。
 (普天間伊織)