沖縄戦で撃沈、米海軍の駆逐艦を発見 沖縄沖の水深1380メートル NHHC「正確な位置は提供しない」


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1944年8月1日、米マサチューセッツ州ボストン海軍基地沖の駆逐艦マナート・L・エベール(米海軍歴史遺産司令部サイトより)

 米海軍歴史遺産司令部(NHHC)は、太平洋戦争末期の沖縄戦で旧日本海軍の特攻によって撃沈された米海軍の駆逐艦マナート・L・エベールが沖縄沖水深1380メートルで発見されたと5月下旬に発表した。NHHCの水中考古学部門は海洋探検家らのチームから提供された情報を基に、同艦の所在を確認した。

 同艦は1945年4月12日、大量の爆薬と操縦士をのせた旧日本軍の特攻兵器「桜花」の突入で沈没した最初の米軍艦。

 NHHCのサイトによると、マナート・L・エベールは1944年4月23日進水、7月4日にボストンで就役。45年3月20日に第54任務部隊の火力支援部隊に加わり、沖縄侵攻作戦アイスバーグ作戦に参加した。3月27日、旧日本軍の神風特攻の攻撃を受けて交戦。4月3日に再び旧日本軍の自爆攻撃を受けた。4月12日、沖縄北方沖75マイル(約120キロ)を航行中、右舷の喫水線付近の弾薬庫前方に桜花が突入し、爆発。船体が真っ二つに折れて沈没した。

 NHHCは「沈没船は国を守るために命をささげた84人の米国人水兵が眠る場」だとし、連邦法によって保護されていると説明。発見場所について、本紙の取材に「戦争墓地として全ての関係者に尊重されるべきであり、沈没船の正確な位置は提供しない方針」と説明した。
 (座波幸代)