水素を混ぜて火力発電、温暖化ガスの排出を削減 沖電が国内初の実証試験 エネルギーの地産地消へ水素の県内製造も検討


この記事を書いた人 琉球新報社

 沖縄電力は16日、中城村の吉の浦マルチガスタービン発電所でLNG(液化天然ガス)に水素を混ぜる「混燃」の実証試験を実施すると発表した。燃焼しても二酸化炭素(CO2)を排出しない水素を活用し、LNGの使用量や火力電源のCO2排出量の削減に乗り出す。太陽光など地域の再生可能エネルギーを活用してCO2を排出させずに水素を製造することも検討しており、エネルギーの「地産地消」の可能性を探る。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業に採択された。事業期間は2025年度まで。本年度末ごろに予定している試験では、LNGと水素を7対3(体積比)の割合で混ぜて燃やす。国内の既設の火力発電所で同様の試験の前例はなく、全国初になるという。

 開始当初は県外から搬入した水素を使うが、途中からうるま市の化学メーカーの製造過程で発生した未利用の水素に切り替える。水素の受け入れと供給の拠点の整備も進める。

 加えて、再エネ由来の電力を使いながら、水素の県内製造を検討する。LNGの成分のメタンガスを分解し、CO2を排出することなく水素と固体の炭素を生成する「ターコイズ水素」の製造法の実現可能性を探る。

 沖電発電本部の我謝直也発電企画グループ長は「島しょ地域や小さいエリアでモデルを確立できれば、全国や太平洋の島々にも展開が可能になる」と見据えた。
 (當山幸都)