ハチミツ作ってサンゴ保護? 沖縄・恩納村が取り組む「未来都市計画」とは 


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ハチミツを採取する関係者ら=5月31日、恩納村役場

 【恩納】恩納村役場で採取されたハチミツの納品が8日、恩納村役場であった。

 ハチミツは5月31日に村役場玄関横で、遠心分離器にかけて採取された。村と沖縄科学技術大学院大学(OIST)が、ミツバチを使った赤土流出防止とサンゴ保護に取り組むハニー&コーラルプロジェクトの一環。村が取り組むSDGs未来都市計画の一つでもある。

 ハチミツ採取量は4年目となる今年、初めて90キロに達した。22年は天候の影響で2キロ、過去3年間でも合計82キロだった。

 8日の納品式では、長浜善巳村長が購買者のハイアットリージェンシー瀬良垣アイランド沖縄と、リザンシーパークホテル谷茶ベイの代表者らに瓶に入ったハチミツを手渡した。次に購買者から購入代金が養蜂農家に渡された。

 長浜村長は「成果が上がってきている。農家のご苦労に感謝する」と語った。ハイアットの村尾茂樹総支配人は「お客さまに『採れたてのハチミツです』と提供したら喜ばれ、売り上げにつながった」と成果を語った。

 ハニー&コーラルプロジェクトは、恩納村赤土等流出防止対策地域協議会がふるさと納税応援基金を利用し、「サンゴの村」恩納村の美しい環境と豊かな生態系が生み出す地域環境を育むとし、採取したハチミツなどで地域社会に貢献を図る。

 ミツバチは花と緑ときれいな水を必要とし、「環境指標生物」ともいわれる。プロジェクトでは、ハチが蜜を集める「蜜源木」を植樹して森を作る取り組みも進めている。畑の赤土流失防止は農家の協力が必須な半面、労力と費用もかかる。そこで花を植え、養蜂を兼業することで、収入を得られ、村の環境保護と景観にも貢献できるという。

 村と農家、支援企業がともにサンゴの村SDGs未来都市を目指している。

(小山猛三郎通信員)