日本維新の会が、日本でのカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業の汚職事件を巡って下した下地幹郎氏への除名処分を撤回する方向で調整していることが分かった。任期途中の衆院解散・総選挙が取りざたされる中で、下地氏にとって不名誉な「重荷」が外れることになり、次期衆院出馬への土台づくりを本格化させるとみられる。
維新は次期衆院選で県内4小選挙区全てに公認候補を立てる方針で調整を続けている。今回の処分撤回は下地氏を沖縄1区公認候補として擁立する布石との見方も関係者に広がる。
下地氏は本紙の取材に現時点での維新への復党は否定したものの、衆院選について「出馬も含めて明らかにしたい」と含みを持たせた。後援会幹部も「処分撤回となれば当然、選挙を考えないといけない」と衆院選に向けた態勢構築に動く構えをみせる。
「1区で(出馬が)あるものとこちらも準備を進めている」。自民党県連幹部の一人は下地氏の維新復党と衆院出馬に警戒感をにじませた。自民は県内4小選挙区全てに現職を抱えており、次期衆院選も現職の4氏の出馬が有力視されている。
維新はすでに同党県総支部幹事長の山川泰博氏を沖縄4区から擁立する方針を固めている。自民県連関係者は4区について、下地氏の出身地、宮古島市が選挙区に含まれることから「仮に下地氏が維新からとなると4区への影響も考えないといけない」と語った。
一方、玉城デニー知事を支える「オール沖縄」関係者は下地氏の出馬について「保守票が割れる。維新からでも無所属でも、こちらとしては歓迎だ」と期待を込めた。オール沖縄は沖縄1、2区の現職と3区の前回選立候補者の支援を決定しているものの4区は候補者未定が続く。同関係者は「相手より、まず自分たちの態勢を固めないといけない」と話した。
(佐野真慈)