全戦没者追悼式はじまる 沖縄戦から78年 変わらず願う、非戦、平和


この記事を書いた人 Avatar photo 仲井間 郁江
祖母と一緒に「平和の礎」に刻まれた親類の名前を探す子どもたち=23日午前8時18分、糸満市摩文仁の平和祈念公園

 慰霊の日の23日午前、沖縄全戦没者追悼式が糸満市摩文仁の平和祈念公園で始まった。地上戦が繰り広げられた78年前の沖縄戦当時、日本軍による「軍官民共生共死」の命令により、老若男女問わず多くの住民が犠牲になった。離島や本島の各地では「集団自決」(強制集団死)を強いられる事態も起きた。今年も戦没者をしのび、非戦と恒久平和の願いを次代へ継承した。

 式では、玉城デニー知事が平和宣言をする。つくば開成国際高校3年の平安名秋さん(17)が平和の詩「今、平和は問いかける」を読み上げる。

 県外からは岸田文雄首相や細田博之衆院議長、尾辻秀久参院議長らが出席する。4月に和歌山県で選挙応援中の岸田首相が襲撃される事件があったため、追悼式の式典会場は警察による厳重な警備体制が敷かれている。

 2020年以降は新型コロナウイルスの影響で式典の一部が制限されたが、今年は4年ぶりの通常開催となった。式典会場では一般参加者も含めた3500席が用意されており、終了後は一般焼香もある。

 式典を前に県遺族連合会による平和祈願慰霊大行進も4年ぶりに開催さた。同日午前9時、糸満市米須の「ひめゆりの塔」から同公園までの約4キロの道のりを、平和の尊さを訴えながら行進した。

 平和祈念公園内に設置された平和の礎には今年、新たに365人の名前が刻まれた。刻銘者総数は24万2046人となっている。

(嘉陽拓也)