高能力種豚、県が導入を支援 一度に約15頭を分娩、生産効率1.5倍 養豚業の離農防止を図る


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繁殖から肉豚の生産まで行う金城栄さん。県の支援策に対し「重要な事業だ」と喜ぶ=22日、南城市のおおいしばるファーム

 沖縄県が養豚業者の肉豚の生産向上に向け、生産効率が1・5倍ほど改善するという「高能力種豚」の導入費用を援助する方針を固めた。県が定める目標は一度の分娩(ぶんべん)で11頭ほどだが、高能力種豚は15頭ほど産むことができる。県内の養豚農家からは「養豚産業の根本を支える支援だ」と評価する声が上がっている。

 県は13日に開会した県議会6月定例会に提出した補正予算案に、養豚業者が高能力種豚を導入する際の補助費用として7109万円を計上した。7月11日の最終本会議で可決される見通し。

 種豚の更新は約3年ごとが目安で、例年6千~7千頭の入れ替えが実施されている。県は同事業で年間の種豚導入数の1割に当たる、約700頭の高能力種豚の導入を見込んでいる。

 豚は他の畜種よりも臭いが強く近隣住民の反発が大きいことや、汚水処理の機材の導入費用など初期費用が高い。そのため既存の施設などを持たない人の新規就農が困難となっている。県は、高齢化や飼料代の高騰などで離農が進む中、養豚業の衰退を防ごうと、今回の事業を決定した。

 県が支援するのは、肉豚を産む「種豚」と、種豚を産む「原種豚」を高能力種豚に入れ替える際の費用の一部。関係者によると、種豚で導入費の3分の2、原種豚で上限18万円までを支援する。

 既に高能力な種豚を導入している、県養豚振興協議会の金城栄会長=南城市=は「繁殖力がすごい。中には20頭近く産んだ種豚もいた」とした上で「県の支援は養豚産業の根元を支える非常に重要な事業だ。継続してくれたらうれしい」と話した。
 (福田修平)


<用語>高能力種豚

 さまざまな品種の種豚、原種豚の中でも、県が定める繁殖能力の基準値を超える豚。各国で生産されており、性能が評価されている豚は1頭で販売価格が30万円を超えることもある。